乙種危険物取扱者試験(第3類)は、受験資格が不要で、マークカード式の五肢択一による筆記試験だけが課されます。試験時間は2時間、出題は法令15問・基礎的な物理学及び基礎的な化学10問・危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法10問の合計35問で、合格基準は科目ごとに60%以上とされています。本ガイドでは、これらの公式情報に加えて、第3類の対象物質を「空気での発火」と「水との接触での発火・可燃性ガス発生」という二つの性質軸で整理し、紙上の例題2題で分類と計算の判断を練習できます。
試験のしくみと合格基準
乙種は筆記試験のみで、五肢択一式・試験時間2時間・科目ごとに60%以上という合格基準です。受験資格はなく、どなたでも受験できます。
危険物取扱者免状には甲種・乙種・丙種の3種類があり、乙種は対象とする類ごとに免状が分かれています。この試験で目指す第3類の対象は、自然発火性物質及び禁水性物質です。乙種と丙種には受験資格が定められておらず、誰でも受験できます。
試験方法はマークカードを使う筆記試験で、乙種は五肢択一式です。実技試験はありません。試験時間は乙種で2時間、合格基準は試験科目ごとの成績が60%以上とされています。一つの科目でも基準に届かなければ合格にならないため、学習は全科目をバランスよく進めることが前提になります。
試験手数料は乙種5,300円(非課税)で、一度納入すると返還されません。試験は中央試験センター(東京)と各道府県支部で実施されており、現住所や勤務地にかかわらず、希望する都道府県の会場で受験できます。
参照した公式情報: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 免状の種類・受験資格・申請方法・注意事項; 試験の方法|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 試験の方法・合格基準; 「危険物」とは?|法令|総務省消防庁 — 類別の性質(第三類)
3科目35問の出題構成と科目免除
免除がなければ3科目合計35問です。法令15問、基礎的な物理学及び基礎的な化学10問、危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法10問という構成を先に押さえます。
出題構成は次の表のとおりです。法令が15問と最多で全体の4割強を占める一方、性消(危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法)は10問で、第3類の学習が最も直接効く科目です。基礎的な物理学及び基礎的な化学は、その名のとおり基礎的な範囲からの出題です。
条件に該当すれば一部の科目が免除され、問題数と試験時間が短縮されます。すでに乙種危険物取扱者免状を有する方が別の類を受験する場合は、法令と基礎的な物理学・化学が全部免除となり、性消の10問、試験時間35分で受験できます。願書には免状のコピーの添付が必要です。火薬類免状による免除(第1類・第5類の受験時)など、条件ごとに内容が異なるため、該当の可能性がある方は公式の一部免除の案内で自分の条件を確認してください。
一般財団法人消防試験研究センターは、過去に出題された問題の一部を公式サイトで公開しています。乙種第1,2,3,5,6類試験のPDFが掲載されており、内容は令和7年度以前の出題分です(令和8年6月更新)。出題形式への慣れを最短で作れる材料なので、学習の早い段階で解いてみてください。
| 試験科目 | 問題数 |
|---|---|
| 危険物に関する法令 | 15問 |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 |
| 合計 | 35問 |
参照した公式情報: 試験科目及び問題数|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 試験科目及び問題数・一部免除; 過去に出題された問題|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 公開問題の範囲と更新時期
第3類の対象物質と二つの性質軸
第3類は自然発火性物質及び禁水性物質です。空気との関係で発火する危険と、水との接触で発火又は可燃性ガスを発生する危険は別々の軸で、物質によって片方または両方になり得ます。
消防法別表第一の第三類には、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、黄りん、アルカリ金属(カリウム及びナトリウムを除く)及びアルカリ土類金属、有機金属化合物(アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを除く)、金属の水素化物、金属のりん化物、カルシウム又はアルミニウムの炭化物、その他政令で定めるもの、並びにこれらを含有する物が品名として列挙されています。
法令上の性状は、「空気にさらされることにより自然に発火する危険性を有し、又は水と接触して発火し若しくは可燃性ガスを発生する」という接続詞の構造のとおり、二つの危険のいずれか又は両方を指します。空気軸と水軸は独立した概念で、物質ごとに片方だけの場合も両方の場合もあります。この軸の分け方を先に理解すると、品目ごとの個別暗記に頼らずに分類問題へ当たれます。
また、カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルキルリチウム及び黄りんは、法令上、定められた性状を示すものとみなされる品名です。品名から直接扱いが決まるこれらの品目を先に固めるのが学習の近道になります。
一点、混同に注意してください。鉄粉は第二類の品名であり、第3類ではありません。自然発火しやすい物質という印象だけで第3類に並べないよう、品名一覧から確認する習慣が役立ちます。なお、各品目が空気軸・水軸のどれを持つかの個別判定は、政令・省令で定める基準によるものであり、本ガイドの参照資料からは細部まで確認できないため、過去問と公式教材で補ってください。
参照した公式情報: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 免状の種類・受験資格・申請方法・注意事項; 「危険物」とは?|法令|総務省消防庁 — 類別の性質(第三類); 消防法 別表第一|総務省消防庁 — 第三類の品名及び備考
紙上の例題で確かめる分類の考え方
観察結果が仮想データとして与えられれば、実際の物質を扱わずに、法令上の定義への当てはめだけで分類判断を訓練できます。
分類問題の訓練は紙上で完結します。観察結果のデータを先に読み、それを空気軸・水軸の定義に一つずつ当てはめるのが手順です。次の例題で確認しましょう。
紙上の例題について
仮想の物質A〜Dについて、次の観察結果が紙上のデータとして与えられています。実際の実験は行わず、このデータのみを根拠としてください。A:空気にさらすと自然に発火した。水との接触では発火も可燃性ガスの発生もなかった。B:空気中では発火しない。水との接触で発火した。C:空気中では発火しない。水との接触で発火はしないが、可燃性ガスを発生した。D:空気にさらすと自然に発火し、水との接触でも可燃性ガスを発生した。消防法上の考え方に従い、A〜Dを「自然発火性」「禁水性」「両方」「第3類の性状に該当しない」から選んで分類してください。
解答を表示
A=自然発火性、B=禁水性、C=禁水性、D=両方です。どれも第3類の性状に該当しない物質はこの中にはありません。
第3類の性状は、空気にさらされることによる自然発火の危険、または水との接触による発火・可燃性ガス発生の危険、のいずれか(又は両方)で定義されます。Aは空気軸のみを示すので自然発火性、BとCは水軸のみを示すので禁水性です。Cで発火がなくても、可燃性ガスの発生という水軸の側面を満たすため禁水性に分類されます。Dは両方の軸を示します。なお、実際の分類は法令別表の品名と政令・省令の試験基準によって行われるものであり、本問は定義への当てはめを練習するための仮想データです。
参照した公式情報: 「危険物」とは?|法令|総務省消防庁 — 類別の性質(第三類); 消防法 別表第一|総務省消防庁 — 第三類の品名及び備考
反応式の係数を使う紙上計算
物質名や危険な操作を使わなくても、与えられた反応式の係数比から物質量を計算する練習ができます。
基礎化学では、反応式の係数を物質量の比として読みます。ここでは架空の物質だけを用い、実験や取扱いを想定しない計算に限定します。
紙上の例題について
架空の反応式 2A → B + C が与えられています。Aのモル質量を40.0g/molとし、Aを80.0g用いたとき、Aがすべて反応したという仮定の下で生成するBの物質量を求めてください。
解答を表示
Bは1.00mol生成します。
Aの物質量は80.0g÷40.0g/mol=2.00molです。反応式の係数比はA:B=2:1なので、Aが2.00molならBは2.00×(1÷2)=1.00molです。架空物質を使った係数比の練習であり、危険物の反応操作を示すものではありません。
学習の優先順位と試験当日までの流れ
法令15問が最多のため全類共通の法令学習を軸にしつつ、性消10問で第3類を集中して学びます。申込みから当日の持ち物まで、センターの公式案内に沿って準備します。
学習の優先順位は出題構成から逆算できます。まず法令を15問ぶんの比重として固め、次に基礎的な物理学・化学の基本的な計算と概念、そして性消で第3類の性質・火災予防・消火を仕上げる、という順序が取り入れやすくなります。センターが公開している過去問で形式に慣らしたうえで、本ガイドの例題のような定義当てはめと計算を繰り返すのが進め方の一例です。なお、紙上の準備は知識の整理には有効でも、実際の現場での安全な取り扱い能力を保証するものではありません。
- 申込みはすべての試験で電子申請が可能です。現在は書面申請も認められていますが、令和10年度からは原則として電子申請のみとなる予定とされています。
- 受験票は、電子申請では試験日のおおむね10日前までにダウンロード案内のメールが届き、書面申請ではおおむね1週間前までに郵送されます。
- 当日の持参物は、写真を貼付した受験票、HB又はBの鉛筆若しくはシャープペンシル、消しゴムです。
- 会場では定規類のテンプレート、電卓、スマートフォン、スマートウォッチ等の機器は使用できません。計算は手算で解けるように練習しておきましょう。
- 会場への往復は公共交通機関を利用し、会場付近での路上駐車はしないよう公式案内で求められています。
参照した公式情報: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 免状の種類・受験資格・申請方法・注意事項; 過去に出題された問題|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 公開問題の範囲と更新時期
参照した公式情報
主要数値は公式情報で確認済み:
