乙種第5類危険物取扱者試験は、消防法上の危険物のうち第5類(自己反応性物質)を扱う類別の試験で、受験資格は不要です。免除がなければ「危険物に関する法令」15問、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問の計35問を、五肢択一・2時間で解き、各科目とも成績が60%以上で合格となります。この記事では、これらの形式的事実、一部免除の条件、第5類の品名の整理方法、紙上の練習問題2題、申込と当日の手続きを順に説明します。
この試験が認定する資格と第5類の対象
乙種第5類危険物取扱者試験は、消防法上の第5類「自己反応性物質」に対応する類別の免状を得るための試験で、受験資格は不要です。
危険物取扱者免状には甲種、乙種、丙種の3種類があります。甲種はすべての種類の危険物を、乙種は類ごとに区分された対象を、丙種は第4類のうち指定された危険物のみを扱えます。乙種の免状は第1類から第6類までの区分ごとに発給されるため、第5類を狙うあなたは乙種第5類の試験を受けることになります。
第5類の対象は「自己反応性物質」で、有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物などが代表例です。消防法でいう危険物とは、火災発生の危険性、火災拡大の危険性、消火の困難性のいずれかが大きい物品を指し、第5類は物質自体の分解反応によって熱や爆発的反応が進みうる群として位置づけられています。
受験資格について、乙種と丙種は誰でも受験できます。甲種だけが一定の学歴・資格・実務経験による資格要件を持つため、第5類の学習を始めたばかりの段階でも申込に支障はありません。
出典: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — トップページ(免状の種類・受験資格・申請・手数料・当日持ち物); 受験資格|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種・丙種は誰でも受験可能; 「危険物」とは?|法令|総務省消防庁 — 類別の性質表(第五類・第六類の概要); 消防法 別表第一|危険物確認試験や危険物の運搬について|総務省消防庁 — 第五類・第六類の品名及び自己反応性物質の定義(備考)
試験の形式:35問・五肢択一・科目別60%
免除がなければ計35問(法令15問、基礎物理化学10問、第5類の性質・火災予防・消火10問)を五肢択一で2時間解き、各科目とも60%以上で合格です。
乙種の試験科目と問題数は、「危険物に関する法令」15問、「基礎的な物理学及び基礎的な化学」10問、「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」10問の計35問です。解答はマークカードを使う五肢択一式の筆記試験で、実技試験はありません。試験時間は2時間です。
合格基準は、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上であることです。これは総得点ではなく科目別の判定なので、得点の偏りを他の科目で補うことはできません。一部免除の対象者は、免除される問題数に応じて試験時間が短縮されます。
練習問題1で、この科目別基準の感覚をつかんでみましょう。問題数の異なる科目では、最低正解数も変わる点に注目してください。なお、ここでは各問が同点で、科目成績が正解数÷問題数で計算されるという仮定を置いた学習上の目安です。実際の配点の細目は公開資料では確認できていません。
練習問題
免除なしの乙種第5類試験で、法令15問、基礎的な物理学及び基礎的な化学10問、性質・火災予防・消火10問とします。各科目の成績が60%以上で合格という基準のもと、各科目で最低何問正解が必要ですか。また三科目合計では最低何問ですか。
解答を表示
法令は最低9問、基礎物理化学は最低6問、性質・火災予防・消火は最低6問で、合計最低21問です。
各問が同点で科目成績=正解数÷問題数という仮定のもと、15問×60%=9問、10問×60%=6問を各科目で計算し、9+6+6=21問を合計します。重要なのは合計ではなく科目ごとの判定であるため、たとえば法令で8問しか取れない場合、他の科目でどれだけ取れても合格基準を満たしません。なおこの計算は学習上の目安であり、配点の細目までは公開資料からは確認できません。
| 試験科目 | 問題数 | 科目別合格基準(学習上の目安) |
|---|---|---|
| 危険物に関する法令 | 15問 | 60%以上(15×0.6=9問) |
| 基礎的な物理学及び基礎的な化学 | 10問 | 60%以上(10×0.6=6問) |
| 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 | 10問 | 60%以上(10×0.6=6問) |
出典: 試験科目及び問題数|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種の科目・問題数表及び一部免除の表; 試験の方法|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 解答形式・試験時間・手数料・合格基準
受験資格と知っておきたい一部免除
乙種第5類には受験資格がありません。ただし火薬類の免状や他類の乙種免状を持つ場合は、試験科目の一部が免除される場合があります。
乙種と丙種は受験資格を必要とせず、どなたでも受験できます。申込時に学歴や実務経験の証明は求められません。
一部免除は条件付きの制度なので、該当する場合だけ確認すれば十分です。他の類の乙種危険物取扱者免状を持つ方は、法令と基礎物理化学が全部免除となり、第5類の性質・火災予防・消火の10問を35分で受験します。火薬類製造保安責任者や火薬類取扱保安責任者の免状を持つ方は、第5類を含む対象類で一部免除となり、24問を1時間30分で受験します。両方の免状を持つ科目免除申請者はさらに短縮され、5問を35分で受験します。いずれの場合も免状のコピーを願書に添付する必要があります。
該当の免状を持たない方にとって、この制度は学習計画に影響しません。全35問・2時間の標準構成で準備して問題ありません。
出典: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — トップページ(免状の種類・受験資格・申請・手数料・当日持ち物); 試験科目及び問題数|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種の科目・問題数表及び一部免除の表; 受験資格|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種・丙種は誰でも受験可能
第5類「自己反応性物質」の定義と品名の整理
第5類は、加熱分解などにより比較的低い温度で多量の熱を発生し、又は爆発的に反応が進行する物質の群で、法別表第一に品名が列挙されます。
消防庁の解説によれば、第5類の自己反応性物質は「固体又は液体であって、加熱分解などにより、比較的低い温度で多量の熱を発生し、又は爆発的に反応が進行するもの」と位置づけられます。法別表第一では、爆発の危険性や加熱分解の激しさを判断するための政令で定める試験によって性状が判断される仕組みです。
品名は法別表第一に系統的に並んでいます。学習ではまず次の品名群を構造ごとに覚え、個々の物質名がどの群に属するかを返せるようにすると効率的です。
分類で特に混同しやすいのが、酸素や過酸物を含む外見だけの判断です。過酸化水素や硝酸は「酸化性液体」の第6類の品名であり、第5類ではありません。第1類(酸化性固体)の硝酸塩類とも字面が似ています。第5類かどうかは「物質自体の反応で熱や爆発的反応が進むか」で判別する、という方針を練習問題2で確認しましょう。
練習問題
次の4品名のうち、消防法上の第5類(自己反応性物質)に分類されるものをすべて選び、選ばなかった品名が属する類とその理由を説明してください。ア:ニトロ化合物、イ:過酸化水素、ウ:有機過酸化物、エ:硝酸。
解答を表示
第5類に分類されるのはアとウです。イ(過酸化水素)とエ(硝酸)は第6類(酸化性液体)の品名です。
法別表第一では、ニトロ化合物と有機過酸化物は第5類の品名として列挙され、過酸化水素と硝酸は第6類の品名として列挙されています。誤答しやすいのは「酸素を含むから第5類」という見た目の判断です。第6類の酸化性液体は「そのもの自体は燃焼しないが、混在する他の可燃物の燃焼を促進する性質を有するもの」と定義され、物質自体の分解で反応が進む第5類とは性質が異なります。分類の問題では物質名の列挙表を引き、性質の定義と突き合わせて判断するのが確実です。
- 有機過酸化物
- 硝酸エステル類
- ニトロ化合物
- ニトロソ化合物
- アゾ化合物
- ジアゾ化合物
- ヒドラジンの誘導体
- ヒドロキシルアミン及びヒドロキシルアミン塩類
- その他政令で定めるもの、並びにこれらいずれかを含有するもの
出典: 「危険物」とは?|法令|総務省消防庁 — 類別の性質表(第五類・第六類の概要); 消防法 別表第一|危険物確認試験や危険物の運搬について|総務省消防庁 — 第五類・第六類の品名及び自己反応性物質の定義(備考)
三科目の学習の進め方と公式過去問
配点が最大の法令15問を軸に、基礎物理化学で共通基盤を固め、性質・火災予防・消火では第5類の品名と性質に集中し、公式公開の過去問で出題傾向を確認します。
法令は問題数が最も多く、製造所等の位置・構造・設備の規制や貯蔵・取扱いの基準などが科目の射程に入ります。ここで注意したいのは、第5類の指定数量や貯蔵・取扱い基準の具体的な数値・条件は政令や総務省令のレベルで定められており、本稿で確認できた公式資料には含まれていないことです。数値を扱う学習段階では、必ず法令の本文(消防法施行令・施行規則)で裏取りしてください。
基礎的な物理学及び基礎的な化学は10問で、すべての類の学習に共通する土台です。性質・火災予防・消火の10問では、前の節で整理した品名群と定義を、性質の説明や消火方法の判断に結び付けられる状態を目指します。
出題傾向の確認には、消防試験研究センターが公開する過去問題が使えます。公開されているのは令和7年度以前に出題された問題で、令和8年6月に更新されています。乙種第1、2、3、5、6類試験としてPDFで公開されており、第5類の科目別出題の形を直接見るのに最適です。著作権があるため、学習目的の範囲で利用してください。
出典: 試験科目及び問題数|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種の科目・問題数表及び一部免除の表; 過去に出題された問題|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 公開範囲と更新時期(令和7年度以前の問題、令和8年6月更新); 消防法 別表第一|危険物確認試験や危険物の運搬について|総務省消防庁 — 第五類・第六類の品名及び自己反応性物質の定義(備考)
申込から試験当日までの手続きと持ち物
全国どこの都道府県の会場でも受験でき、電子申請が利用できます。試験手数料は5,300円で、当日は写真付き受験票とHB又はBの鉛筆、消しゴムを持参します。
試験は消防試験研究センターの中央試験センター(東京)及び道府県支部で実施され、現住所や勤務地にかかわらず希望する都道府県で受験できます。ただし試験日程と受付期間は支部ごとに異なるため、受験予定支部の試験日程一覧を必ず確認してください。
申込はすべての試験で電子申請が可能で、書面(受験願書)による申請も現在は可能です。ただし令和10年度からは原則として電子申請のみとなる予定と案内されています。同一試験日での電子・書面の重複申請や、同じ種類の試験の重複受験はできません。試験開始時間の希望はできません。
試験手数料は乙種で5,300円(消費税非課税)です。一旦払い込まれた手数料は返金されません。電子申請では試験日のおおむね10日前までに受験票のダウンロード案内メールが届き、書面申請ではおおむね1週間前までに受験票が郵送されます。届かない場合は申込先の支部に照会してください。
当日は、写真を貼付した受験票、HB又はBの鉛筆またはシャープペンシル、消しゴムの持参が必要です。テンプレート等の定規類、電卓、スマートフォン、スマートウォッチなどの機器は使用できません。会場への往復は公共交通機関を使うよう案内されています。身体の障害等で配慮が必要な場合は、申請前に支部へ相談できます。
出典: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — トップページ(免状の種類・受験資格・申請・手数料・当日持ち物)
直前チェックリスト
申込方法、免除の有無、学習の進み、当日の持ち物の四つを、試験前に順番に確認しましょう。
以下は出典に基づく確認事項のまとめです。各項目は一度確認すれば十分で、当日は受験票と筆記用具の忘れ物だけが実質的なリスクです。
- 受験予定支部の試験日程と受付期間を試験日程一覧で確認した
- 電子申請(または書面申請)で重複申請になっていないか確認した
- 試験手数料5,300円の払込み方法を電子申請・書面申請の別で確認した
- 他の類の乙種免状や火薬類免状の保有により一部免除が適用されるか確認した
- 第5類の品名群と第6類との区別を、練習問題2の形で自分で説明できる
- 写真付き受験票、HB又はBの鉛筆、消しゴムを準備し、電卓等は持参しないと把握した
出典: 危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — トップページ(免状の種類・受験資格・申請・手数料・当日持ち物); 試験科目及び問題数|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 乙種の科目・問題数表及び一部免除の表; 試験の方法|危険物取扱者試験|一般財団法人消防試験研究センター — 解答形式・試験時間・手数料・合格基準
出典
事実確認済み:
